2026年6月14日日曜日

白山史学会会報第133号[メルマガ12号]


白山史学会会員のみなさま


入梅の候、会員の皆さまにおかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

『会報』第133号(メルマガ12号)を送らせていただきます。

何かお気づきの点がございましたら、学会事務局(hakusanshigakukai@gmail.com

までいつでもご連絡ください。




******  目次 ******

1. 白山史学会第62回大会・第54回総会のお知らせ

2. 会務報告

3. 常任委員選挙に関するお知らせ

4. 田中文庫選書委員会からのお知らせ

5. 新刊紹介

6. 編集後記

*********************




1. 白山史学会第62回大会・第54回総会のお知らせ


 今年度の白山史学会大会および総会は、6月27日(土) 午前・午後の二部制にて開催します。

 第54回総会は10時から第62回大会は12時30分からとなります。

 対面およびオンライン配信にて開催予定です。


◯開催日時:2026年6月27日(土)

 10:00~11:30 総会      

 12:30~     研究報告・講演

 18:00~          懇親会 (6号館地下学食)


◯会場:6210教室(6号館2階)


◯配信URL


 総会

 https://us02web.zoom.us/j/85100273308?pwd=eaLbISPg1iwZVi7fPTpMJbS3hlExmy.1

   Meeting chat link https://us02web.zoom.us/launch/jc/85100273308

   ミーティング ID: 851 0027 3308

   パスコード: 6LnnSN

 

 大会

 https://us02web.zoom.us/j/89755158629?pwd=cY96B5I4pts7B5rcFf9JTajS2aSLTS.1

 Meeting chat link https://us02web.zoom.us/launch/jc/89755158629

 ミーティング ID: 897 5515 8629

 パスコード: 6CdxjG

 

◯総会議案

 ・『白山史学』投稿規定改定について

 ・『白山史学』バックナンバー残部の取り扱いについて

 ・常任委員の増員について


◯研究報告

 ・水谷 祐文 氏 [東洋大学大学院博士後期課程]

 禁裏修理からみた戦国期の朝廷運営-将軍足利義晴の関与に着目してー

 ・林  萌里 氏 [東洋大学大学院博士後期課程]

 「安政期における京都警衛問題と彦根藩」

 ・飛鳥馬 一峰先生 [東洋大学非常勤講師]

 13世紀前半の中部イタリアにおける城砦と交通路―教皇権による支配領域の形成―


◯講演

   ・朴澤     直秀 先生   [東洋大学教授]

 「『寺社裁許問答』をめぐって

  ・ 長谷川 祐平 先生   [東洋大学助教]

 英国保守党史研究の意義の再考:史学史と現代史との対話

  ・ 奥村      哲   先生   [首都大学東京(東京都立大学)名誉教授]

 「中国の近現代史と日本



*対面・オンラインとも、事前登録なしでどなたでもご参加いただけます。

 会場にお越しになることが難しい方も、オンライン配信をご活用いただけますと幸いです。

 なお、オンライン参加者向けの資料の共有方法につきましては、当日お知らせいたします。



*大会終了後は、懇親会を開催いたします。懇親会に参加される場合は、事前申込み

 必要です。

 下記のgoogleフォームにて、6月22日(日)17:00までにお申し込みください。

 会費等詳細につきましては、申込みフォーム内の説明をご参照ください。

 なお、当日の参加申し込みも別途受け付けます。

 参加申込フォーム:https://forms.gle/pWWVLSYGPAsof5fBA



懇親会では、白山史学会創立80年記念事業として、OB・OGによるスピーチ

「わが青春の白山史学会」も行いますので、ぜひ奮ってご参加ください。



大会研究報告の要旨は下記の通りです。


・水谷 祐文 氏禁裏修理からみた戦国期の朝廷運営-将軍足利義晴の関与に着目してー


 本報告は、内裏の修築を指す禁裏修理への考察を通して、室町幕府12代将軍足利義晴政権期の朝廷運営を論じ、続く義輝政権期との連続性を指摘する内容である。義晴・義輝期の公武関係は、近年研究が進んだ結果、両時期が対照的な性質であることが明らかになっている。そこで本報告では、義輝期公武関係の前提が義晴期にあると定義し、当該期における公武関係を再検討することを目的とした。

 第1章では、義晴が将軍在位期の天文9~12年においては、禁裏修理料が国役として賦課されていたことを確認した。

 第2章では、天文12年頃を境として、禁裏修理料の徴収が国役賦課から廷臣が地域権力のもとに下向して調達する体制(「廷臣下向型」と定義)への転換が見られる点を指摘した。従来、この転換は幕府の命令権が喪失したことによって国役賦課が機能不全に陥っていたためであると論じられていた。しかし、朝廷は国役賦課の継続を幕府に打診している点から、従来の見解は一要因に留まる可能性があることを示した。

 第3章では、「廷臣下向型」の徴収が確認される個別事例を確認した。「廷臣下向型」において、当初幕府は徴収の一端を担っていたが、事例の大半は朝廷単独である点を確認した。

 第4章では、義晴期の公武関係を概観し一応の安定期と捉えた一方で、上記で検討した禁裏修理の事例では、将軍が戦乱により朝廷運営から離脱していく様相を確認した。また、補足として江口合戦以降公武交渉が低調になっていくと考察し、江口合戦が義晴末期の公武関係において決定的な影響をもたらしたとした。

 義晴期の公武関係は、先行研究において安定期と定義され得る。しかし禁裏修理料の徴収事例から概観すると、義晴政権末期には将軍の在国により幕府が朝廷運営(禁裏修理)から離脱しており、その側面を引き継いで義輝政権が開始していると定義した。そして、その後の義輝政権における公武関係においては義晴末期の状況が前提となっている点を見通した。



・林  萌里 氏「安政期における京都警衛問題と彦根藩」


 本報告は報告者の前稿(「嘉永・安政期の京都警衛問題と朝廷―三条実万「海防意見書案」にみる京都警衛体制の構想—」『白山史学』61号、2025年)において論じることのできなかった、京都警衛の担当者である彦根藩による京都警衛について検討するものである。

 先行研究において安政元年4月に彦根藩が京都警衛を命じられたことは、安政の大獄の前史として①任命の背景に朝廷の意向があったこと、②彦根藩が展開した旧格復帰運動の結果であること、③彦根藩の強い自意識が対立を生むこと に着目されてきた。しかし京都警衛に任命されたことが強調される一方、京都警衛の実態については述べられていない。

 また京都警衛の方針をめぐっては、度々警衛強化を求めてきた朝廷が幕府とともに警衛の規模縮小に動くなど、矛盾ともとれるような未解明の部分を残している。そこで本報告では安政元年から同4年の京都警衛を彦根藩の役割と実態、プチャーチン大坂湾来航以降本格化する大坂警衛との連続性という観点から検討する。

 まず、老中の諮問をうけて作成された京都所司代脇坂安宅の警衛案から彦根藩がどのように位置づけられているかを確認する。ここからは、脇坂は既存の京都大名火消役への追加ではなく、「異変之節」の増援要員として彦根藩を扱っていたことが明らかになる。これは安政元年4月の井伊直弼への老中達とも一致し、同年7月までの彦根藩は常備ではなく、増援であったことが確認できる。また彦根藩の在京人数は京都大名火消役であり、御所警衛を命じられていた膳所藩の人数を参考にしたと考えられる。

 次に、プチャーチンの大坂湾来航以降、大坂では対応する諸藩の人員が少なかったことが問題となる。朝廷も同時期に京都警衛の手薄さへ不満を漏らしており、京都警衛も大坂警衛とともに人員増加が課題となる。彦根藩は琵琶湖を通じた派兵を主張したが幕府は聞き入れなかった。また幕府は砲台築造による海防体制構築に舵を切っており、陸地の防衛よりもそもそも大坂湾に異国船を侵入させない海防体制へと切り替わるなかで、京都警衛の人数削減が打ち出されたと考えられる。

 以上の検討から彦根藩は自藩を中心として京都を守る「京都守護」を構想していたにも関わらず、実態は伴っていなかったと言える。プチャーチンの大坂湾来航によって、大坂警衛が急速に進められ、次第に陸地の防衛よりもそもそも大坂湾に異国船を侵入させない海防体制へと方針は切り替わっていった。同年12月の警衛人数縮小は今後幕府よって海防体制が整えられることを前提とした処置と位置づけられる。



・飛鳥馬 一峰先生13世紀前半の中部イタリアにおける城砦と交通路

                         ―教皇権による支配領域の形成―

 本報告では、十二世紀末から十三世紀前半にかけての教皇による世俗的支配について、城砦と交通路の関係から検討する。従来、「教皇領」と呼ばれてきた領域は、初めから統一的な領域として存在したものとして理解されがちであった。しかし近年では、教皇による支配は都市や領主層との個別的関係を基盤として形成されるものとして理解されるようになっている。こうした理解を踏まえつつ、本報告では「教皇領」を、点と線の束として形成されていったものとして捉え直す一つの試みとして、城砦と交通路の関係から検討する。

 対象時期は十三世紀前半の教皇であるインノケンティウス三世からグレゴリウス九世までの時期であり、教皇書簡や登録簿を中心とする文書史料を用いて分析を行う。

 まずインノケンティウス三世期には、ラディコファーニ、モンテフィアスコーネ、アクアペンデンテなどローマへ向かう主要交通路上の城砦が重視されていたことを確認する。これらの城砦では城代の配置や共同体への介入が行われ、通行税や軍事奉仕に関する文書からは、交通路の維持と城砦防衛が密接に結び付いていたことが明らかとなる。さらにオトリコリをめぐる事例からは、主要交通路沿いの城砦をめぐる紛争や管理に教皇が介入していたことが確認できる。

 次にグレゴリウス九世期には、モンテフィアスコーネやラディコファーニの強化に加え、フモーネ、パリアーノ、セッローネなどの城砦に対して、買収、授封、管理委託、忠誠誓約などが行われていた。また交通路の安全確保、橋梁修復、公道維持に関する文書からは、教皇権が交通路そのものの管理にも関与していたことが確認できる。この時期には、城砦の管理と交通路の維持との結び付きがより明確になっていた。

 以上の検討からは、主要交通路上に位置する城砦が、教皇権にとって単なる軍事施設ではなく、支配の結節点として機能していたことが明らかとなる。また交通路も、単なる移動の経路にとどまらず、城砦と結び合うことで支配の基盤を構成するものであった。このように、「教皇領」は初めから統一的な領域として存在していたのではなく、点と線の積み重ねの中で形成されていったのだといえるのである。





2. 会務報告

 今年度のここまでの活動状況について、以下の通りお知らせいたします。


◇新入生歓迎講演「歴史学への招待」(2026年4月3日)

「私の卒論、テーマは江戸のナポレオン伝と蛮社の獄だった」 東洋大学教授 岩下哲典


◇卒業論文発表会(2026年5月9日)

 日本史分野 難波 虎之助 氏 「戦国期『同盟』に関する考察」       

 東洋史分野 小嶋 環 氏   「清朝初期における皇室婚姻政策と多民族国家体制の形成」

 西洋史分野 関口 要 氏   「ビザンツ帝国における軍政と行政の関係

                     :ゲニコス・コンメルキアリオス印章を中心に」

 *アーカイブ公開につきましては、会員の皆さまに別途ご案内しております。


◇常任委員会

 常任委員会を下記の日程で開催いたしました。

 第1回(7月16日)・第2回(10月8日)・第3回(11月25日)・第4回(2月18日)

 第5回(4月22日)第6回(6月10日)





3. 常任委員選挙に関するお知らせ

    総会の二週間前より、次期常任委員の立候補および推薦を受け付けております。

 応募書式に規定はなく、下記まで届け出をお願いいたします。

 なお、応募や推薦につきましては総会当日でも可能となっています。


【ご応募先】  

 住所:〒112-8606

    東京都文京区白山5-28-20 東洋大学文学部史学科 共同研究室内 白山史学会

 E-Mail : hakusanshigakukai@gmail.com

 




4. 田中文庫選書委員会からのお知らせ

 選書委員会では、史学史・歴史学理論に関する書籍を「田中文庫」として日々収集しております。

 収集にあたっては、会員の皆さまからのご意見・ご希望を広く受け付けております。

 専攻を問わず、史学史・歴史学理論などに関する書籍についてお心当たりがございましたら

 下記までお知らせくださいますようお願いいたします。


【ご連絡先】

 住所:〒112-8606

     東京都文京区白山5-28-20 東洋大学文学部史学科共同研究室内

     白山史学会選書委員会

 E-Mail : hakusanshigakukai@gmail.com





5. 新刊紹介

 メルマガでは、田中文庫に新しく収められた書籍や会員が関係する新刊書籍を紹介しております。

 今回紹介する書籍は、


 松沢裕作 著『歴史学は世界を変えることができるか』(岩波書店、2025年) です。


 本書は、歴史学とはそもそも人にとって何なのか、どのようなものとしてあるのか、またあるべきなのかを著者自身の研究活動の歩みを通して考察したものです。

 人に訪れるいわれなき困難や苦悩を著者は「不条理」と表現します。二〇二〇年前後から現在までのおよそ六年間をみても、新型コロナウイルス感染症の世界的流行やロシアによるウクライナへの武力侵攻、直近ではアメリカによるベネズエラ攻撃と同国大統領の拘束・送致、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃などまさに世界は常に「不条理」と背中合わせの状況にあります。このような世界に存在するあまたの「不条理」に向き合うとき、「歴史学は世界を変えることができるか」という問いに、著者は「歴史学は、この世界の不条理な抑圧を減少させることに寄与しうると考えている。」と表明します。

 本書は近世・近代の農村社会を研究する歴史家として、歴史学の力を信じ、抑圧と解放をめぐる歴史学の役割を追求する著者の思索とその軌跡を綴った一読に値する著作です。その構成は「Ⅰ歴史学を架橋する」、「Ⅱ〈夢みること〉の歴史学」の二部から成るきわめてシンプルな造りですがそれゆえに著者の意図が率直に伝わってきます。著者による『歴史学はこう考える』(ちくま新書、2024年)(「田中文庫」所蔵)もあわせて読まれることをおすすめいたします。(関廣好[本学人間科学総合研究所客員研究員])






5. 編集後記

 『会報』第133号(メルマガ12号)をお送りいたします。本号は、6月27日(土)開催予定の白山史学会第62回大会・第54回総会のお知らせに加え、今年度の活動報告も行なっております。

 本大会は午前と午後の二部制となっており、創立80周年を迎えるに相応しい素晴らしい大会となることを心待ちにしております。ご多用中にもかかわらず、ご快諾いただきました講演者および報告者の皆さまに改めて御礼申し上げます。

 また、大会終了後には懇親会を開催する運びとなりました。ご多忙とは存じますが、歴史談義に花を咲かすことのできる、またとない機会ですので、是非ご参加いただけますと幸いです。

 2025年度の会報は今回が最終号となります。約2年間、拙文にお付き合いいただき誠にありがとうございました。次回の会報は、新体制の常任委員にて秋頃の配信予定です。今後とも本会の活動にご理解ご協力賜りますよう、よろしくお願いいたします。   (企画局 小森)




白山史学会会報第133号[メルマガ12号]

白山史学会会員のみなさま 入梅の候、会員の皆さまにおかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 『会報』第133号(メルマガ12号)を送らせていただきます。 何かお気づきの点がございましたら、学会事務局( hakusanshigakukai@gmail.com ) ...